小児のブラッシング指導の重要性と効果的な方法!

2023年08月07日(月)

小児歯科

こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。

真剣な表情で歯磨きをしているこども

こどもが自分で歯磨きをするようになると「上手にブラッシングできているだろうか」「磨き残しはないだろうか」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

こどもの歯は虫歯になりやすく、一度虫歯になると進行が早い特徴があります。大人になっても健康な歯でいるためには、こどものうちからブラッシング指導を受けて、虫歯予防の習慣を育てることが重要です。

今回は、小児の口腔ケアの重要性や歯科医院でブラッシング指導を受けるメリット、ブラッシング指導例について解説します。こどもの虫歯が気になる方やブラッシング指導を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

小児の口腔ケアの重要性

積み木でケアをあらわしている

大人になっても健康な歯でいるためには、こどものうちから口腔ケアを始めることが非常に大切です。乳歯の虫歯は、こどもの発達や永久歯の歯並びなどに影響します。健全な発達と将来のお口の健康のためにも、小さい頃から口腔ケアを習慣化させましょう。

以下、小児の口腔ケアがなぜ重要なのか詳しく解説します。

虫歯を予防するため

乳歯は歯の質が弱いため虫歯になりやすく、いったん虫歯になってしまうと進行しやすいのが特徴です。

また、乳歯は虫歯になっても自覚症状がはっきりしないケースが多く、発見や治療が遅れがちになります。こどもが痛みや腫れなどの症状を訴えたときは、神経にまで病変がおよんでいることもあり、大がかりな治療が必要な場合、こどもにとっては大きな負担です。

また、虫歯を治療せずに放置すると、歯根(歯の根っこ)の先に細菌が感染して「根尖性歯周炎」といわれる炎症を起こし「エナメル質形成不全」を発症するケースもあります。

エナメル質形成不全は、歯の表面を覆っている硬い組織であるエナメル質が、正常に形成さない病気です。エナメル質が上手に作られなかった歯は、虫歯菌が入り込みやすく、虫歯の進行が早くなります。永久歯が発育不全を起こし、変形するケースや、黄色く変色して生えてこなくなるケースもあるため注意が必要です。

永久歯の歯並びのため

口腔ケアを怠り、乳歯が虫歯になると、永久歯の歯並びが悪くなる可能性があります。

虫歯が進行して乳歯が抜けてしまうと、隣の歯が傾き、永久歯が生えてくるためのスペースが狭くなります。永久歯が生えてくるときに、傾いた歯が邪魔となって、まっすぐ生えることができません。

また、虫歯によって歯冠部(歯の頭の部分)が崩壊すると、噛み合わせている部分がガタガタした歯並びになる可能性もあります。歯並びが悪くなると、笑顔を見せることや人前で話すことが苦手になるケースもあり、精神的にも悪影響をおよぼしかねません。

口腔ケアをしっかり行って虫歯を予防し、こどもの笑顔を守りましょう。

十分な栄養を摂取するため

こどもの成長や発達には多くの栄養が必要です。しっかり栄養を摂取するためには、健康な歯で食べ物をよく噛むことが大切です。

虫歯や噛み合わせの異常があると、硬い食べ物や繊維の多い食べ物を嫌がるようになります。それが長期間続くと偏食につながり、十分な栄養を摂取できなくなる可能性があるため注意が必要です。

小児期は、食習慣のしつけが大切な時期でもあります。バランスのよい食事を楽しめるよう、口腔ケアを習慣化させて虫歯を予防しましょう。

正しい発音で話すため

幼児期は、言語を獲得していく時期です。この時期に健康な歯が生え揃っていることは、言語発達においても重要といえます。

言葉を上手に発音するには、舌や口唇の動きが大切です。虫歯で歯に穴があいている場合や歯並びが悪い場合、舌や口唇の動きがさまたげられ、滑舌が悪くなります。また、歯が抜けてすき間ができると、息がすき間から漏れて発音に支障が出ます。とくに「さ行」「た行」「ら行」の音を正しく発音するのが難しいでしょう。

乳歯から永久歯に生え変わっても、記憶された舌や口唇の動きは変えられず、大人になっても正しい発音ができないケースもあります。正しい発音で話せるように、口腔ケアを習慣化させ、健康な歯を維持しましょう。

顎の成長・発達のため

口腔ケアは、顎の成長や発達のためにも重要です。

こどもの顎は、上下の歯がしっかり噛み合っている状態で、よく噛むことによって正常に発達します。口腔ケアを怠り虫歯を放っておくと、痛みのある歯をかばい、片側で噛む癖やよく噛まずに飲み込んでしまう癖がつきます。顎の成長や発達に悪影響をおよぼすため注意が必要です。

顎が正常に発達せず小さくなってしまうと、大きな永久歯が並ぶスペースがないため、前後に凸凹した歯並びになってしまいます。

お口の健康やきれいな歯並びは、こどもの自信にもつながります。小さい頃から口腔ケアを行い、健康な歯でしっかり噛んで、顎の発達を促すことが重要です。

小児のブラッシング指導のメリット

メリットをあらわすイメージ

こどものうちから正しいブラッシング指導を受けると、さまざまなメリットがあります。小児のブラッシング指導の3つのメリットは、以下のとおりです。

 

  • 歯科医院に行くことに慣れる
  • 一人ひとりのこどもに合ったブラッシング方法を学べる
  • 将来にわたってお口の健康を維持できる

以下、それぞれ詳しく解説します。

歯科医院に行くことに慣れる

ブラッシング指導では、歯を削る、麻酔の注射を打つなどの、こどもが嫌がる処置はありません。痛い思いや怖い思いをすることがないため「歯科医院は怖いところ」というイメージをもつことなく、歯科医院に慣れることができます。

また、定期的にブラッシング指導を受けると、お口の異常を早期発見でき、早期治療につながります。ブラッシング指導で虫歯の予防や治療の重要性を伝えおくことで、治療が必要となったときの受け入れがスムーズにいきやすいのも大きなメリットです。

一人ひとりのこどもに合ったブラッシング方法を学べる

歯科医院では、こどもの年齢や歯並び、永久歯への生え変わりなど、一人ひとりのお口の状況に合わせて、効果的なブラッシング方法を指導します。

歯並びの変化や永久歯への生え変わり、顎や筋肉の成長など、こどものお口の状況は刻々と変化します。歯並びや成長過程によって、ブラッシングのポイントが異なるため、定期的にブラッシング指導を受けるとよいでしょう。

歯科医院では、お子さまへの指導はもちろん、保護者の方にも仕上げ磨きのコツなどをお伝えします。虫歯になりやすい場所や歯ブラシの動かし方など、注意してもらいたいポイントを指導します。

また、ブラッシング方法の指導だけでなく、歯ブラシやフロスなどの選び方のアドバイスも可能です。こどもの成長や発育段階にあったものを使用し、効果的なブラッシングを行いましょう。

将来にわたってお口の健康を維持できる

正しいブラッシング方法を身に付けることで、小児期だけでなく、生涯にわたりお口の健康を維持できます。

幼児期〜学童期は、乳歯から永久歯へと生え変わる時期です。乳歯と同じように、永久歯が生え始めてから約2年間は、歯の質が未熟で弱いため、虫歯予防が重要といえます。

永久歯は、一生使う大切な歯です。こどものうちから歯科医師や歯科衛生士の指導やアドバイスを受け、正しいブラッシングを習慣化させましょう。

小児のブラッシング指導では何をする?

こどもにブラッシング指導をしている歯科医師

ブラッシング指導は、年齢や歯並びなど、一人ひとりのお口の状態に合った適切な方法で実施することが重要です。以下、ブラッシング指導の流れと、乳児期〜学童期のブラッシング指導例をご紹介します。

まず、ブラッシング指導の流れは、以下のとおりです。

 

  1. ふだんの歯磨きの方法を確認する
  2. 歯に付着している歯垢(プラーク)を染めて、磨き残しを把握する
  3. 歯垢が付着している部分のブラッシングを指導する
  4. 歯垢、歯石、着色のクリーニングを行う

ブラッシング指導では、虫歯になりやすい場所や汚れが残りやすい場所を確認し、効果的に汚れを落とすブラッシング方法を指導します。

また、歯垢や歯石、着色を専用の道具を使用して除去し、虫歯や歯周病の予防につなげます。歯石や着色は、ふだんの歯磨きでは除去できないため、定期的に歯科医院でクリーニングを受けましょう。

次に、乳児期〜学童期のブラッシング指導例をご紹介します。

乳児期〜幼児期(0〜2歳頃)のブラッシング指導例

乳歯が生え始めた時期から、虫歯予防のための口腔ケアをはじめます。歯の本数が少ない間は、歯ブラシで歯茎を傷つけてしまう可能性があるため、ガーゼを使用します。ガーゼで歯を拭いて、お口の中に物が入ることに慣れさせることが大切です。

乳歯が増えてきたら、歯ブラシを使って汚れを除去します。この時期のこどもは、歯ブラシがお口に入るのを嫌がることも多いです。歯磨きの導入となる大切な時期のため、嫌がるときは無理をせず、少しずつ歯ブラシに慣れさせましょう。

早い時期からこどもに歯ブラシをもたせて、自分で歯磨きをする習慣を身に付けることも大切です。この時期は、ブラッシングは必要ありません。歯ブラシを口に入れるだけでも大丈夫です。

こどもが歯磨きしている間はそばで見守り、終わったらほめてあげるとよいでしょう。歯ブラシをくわえたまま走り回るなど、危険な行動をしないように注意してください。

こどもが歯磨きしたあとは、必ず仕上げ磨きをします。仕上げ磨きをするときは、こどもの頭を膝の上に乗せて、お口の中をしっかり観察できるようにします。ペンをもつように歯ブラシをもち、毛先を歯の表面にしっかりあてて、細かく毛先を動かして磨きましょう。

虫歯のリスクが高い奥歯から順番に丁寧にブラッシングしていきます。上の前歯には「上唇小帯」という上唇の裏側の中心から歯茎にのびているスジがあります。この部分に歯ブラシがあたると痛みを感じるため、磨くときは人差し指で上唇小帯を保護しながら磨くとよいでしょう。

歯ブラシをお口の中に入れるときは、こどもの頭をしっかり固定してから入れるようにしてください。この時期のこどもは予想しない動きをすることがあります。歯磨きの最中にこどもが頭を動かすと、歯ブラシで口の中を傷付けてしまう可能性があるため注意が必要です。

幼児期(3歳〜6歳頃)のブラッシング指導例

3歳頃までに上下20本の乳歯が生え揃います。幼児期から自分でブラッシングできるよう指導していきます。まずはこどもに自分で磨かせ、そのあとに保護者による仕上げ磨きを行いましょう。

こどもが磨くときは、磨き残しがないように、虫歯になりやすい奥歯から順番に、1本ずつ丁寧に磨くように教えるとよいでしょう。幼児期は「自分でやりたい」という気持ちはあっても、まだまだ上手にブラッシングできません。うまくできなくても、叱らずに優しく見守り、できたことを褒めてあげましょう。

仕上げ磨きを行うときは、こどもを膝の上に寝かせるとお口の中がよく観察できます。ペンをもつように歯ブラシをもち、毛先を歯の表面にしっかりあてて、細かく毛先を動かして磨きます。歯ブラシを小刻みに動かしながら、1本ずつ丁寧に磨きましょう。

歯ブラシが歯茎にあたったり口唇を強く引っ張ったりすると、痛みから歯磨きを嫌がるようになります。お口の大きさに合わせ、ヘッドが小さめの歯ブラシを使用し、優しい力で磨いてあげましょう。

幼児期は、生活習慣を獲得していく大切な時期です。こどもの「自分でやりたい」という気持ちを尊重し、習慣を育てることが大切です。

学童期(7〜12歳頃)のブラッシング指導例

学童期は、乳歯から永久歯へと生えかわる時期です。お口の中の状態はどんどん変化していきます。生えたばかりの永久歯は未熟で弱く、表面がざらざらしていて、汚れがつきやすいのが特徴です。また、乳歯と永久歯が混在し、歯並びが複雑で、歯ブラシをあてにくい部分も多いです。

学童期に歯磨きが十分に行われないと、あっという間に虫歯になってしまいます。一生使う永久歯を守るために、正しいブラッシング指導を受けることは非常に重要といえるでしょう。

虫歯ができやすい以下の部分は、特に丁寧に磨くよう指導します。

 

  • 歯と歯の間
  • 歯と歯茎の境目
  • 奥歯の溝

歯ブラシを鉛筆もちで握り、縦・横・斜めと工夫して使って歯を一本ずつ丁寧に磨くようにしましょう。磨き残しがないよう、歯の奥から順番に磨いていくとよいです。

学童期では「6才臼歯」を守るのも大切なポイントです。6才臼歯は、6歳頃に乳歯のうしろに生えてくる奥歯で、永久歯の中で最も大きな歯となり「第一大臼歯」ともいわれています。

6歳臼歯は、噛み合わせの中心となる大切な歯です。6歳臼歯が噛み合うと、噛む力が強くなり、筋肉や骨をよく動かすため、身体の成長や発達にもつながります。6歳臼歯が虫歯になると、歯並びや噛み合わせに悪影響が出るため、生え始めの時期からしっかり虫歯予防を行う必要があります。

6歳臼歯は以下の特徴から虫歯になりやすいため、保護者の方は仕上げ磨きのときによく観察しましょう。

 

  • 乳歯の奥に生えてくるため気づきにくい
  • 生え始めは乳歯より低いため磨きにくい
  • 歯の溝が深く歯垢が溜まりやすい

6歳臼歯は、最も奥にあるため歯ブラシが届きにくく、非常に磨きにくいです。また、生えたばかりの時期は歯の質がやわらかく、虫歯菌が入り込みやすいため、丁寧に磨かないとすぐに虫歯になってしまいます。

歯ブラシは、お口の奥まで届きやすいヘッドが小さめの物を使うとよいです。保護者の方が仕上げ磨きをするときは、6歳臼歯の噛み合わせの面をしっかり磨いてあげましょう。

小学校高学年になると、6歳臼歯のうしろから12歳臼歯(第二大臼歯)が生えてきます。12歳臼歯も6歳臼歯と同じように、虫歯になりやすいです。

特に生え始めの時期は、丁寧な歯磨きが必要となります。12歳頃までは、保護者の方が仕上げ磨きをしてあげるとよいでしょう。

乳歯と永久歯が混在する学童期のお口の中は、複雑で磨きにくいです。歯科医院で定期的にブラッシング指導を受けて、その時期のお口の状態に合ったブラッシング方法を身に付ける必要があります。また、虫歯だけでなく、歯並びや顎の発達も気になる時期です。ブラッシング指導の際に一緒にチェックしてもらうとよいでしょう。

ブラッシング習慣の継続が重要

重要なポイントを示している

こどものうちから定期的にブラッシング指導を受け、習慣を継続していけば、生涯にわたって虫歯の発症を予防できます。ブラッシングを習慣化させるには、乳児期から継続した取り組みが必要です。

乳歯が生え始める時期ではブラッシングは必要ありませんが、ガーゼなどでお口の中を拭き取ったりうがいの練習をしたりすることで、お口の中をきれいにする習慣を身につけるとよいでしょう。

幼児期からは、定期的にブラッシング指導を受けることで、お口の健康の大切さを徐々に理解していきます。大人になってから習慣を身につけるのは難しいものです。生活習慣が身につきやすいこどものうちから、ブラッシングの方法や大切さについて繰り返し指導していく必要があります。

まとめ

歯磨きをしているこども

小児期は、乳歯から永久歯への生え変わりの時期です。乳歯と永久歯が混在するため、歯磨きがしにくく、虫歯になりやすいため注意が必要です。正しいブラッシング方法で、汚れをしっかり落とすことが虫歯予防の基本といえます。

乳歯の虫歯は、こどもの成長や発達、永久歯の歯並びにも影響を与えます。大人になっても健康な歯を維持するために、乳児期からの虫歯予防が非常に重要です。

歯科医院では、口腔ケアのプロである歯科医師や歯科衛生士が、一人ひとりのお口の状態に合わせたブラッシング方法を指導します。自分に合ったブラッシング方法を継続していけば、効率よく汚れを落とすことができ、生涯健康な歯を維持できるでしょう。ブラッシング指導を定期的に受けて虫歯を予防し、こどもの大切な歯を守りましょう。

こどものブラッシング指導を検討されている方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。