乳歯の虫歯を治療しないことによるリスクと治療の必要性を解説!

2023年11月11日(土)

小児歯科

こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。

健康な歯と虫歯の模型・歯の治療器具

「乳歯に虫歯は治療しないといけないのか」「歯科医院を受診するタイミングがわからない」とお悩みの方がいるのではないでしょうか。乳歯は永久歯に生え変わるため治療しなくても問題ないと考えている方もいるでしょう。

そこで今回は、乳歯の虫歯を治療しないリスクと治療の必要性、乳歯の虫歯予防の方法など解説します。お子さんの虫歯が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

乳歯の虫歯の特徴とは?

歯ブラシを持っている歯科衛生士

乳歯の虫歯には、以下の特徴があります。

  • 永久歯と比較して虫歯の進行が早い
  • 色が白い
  • 痛みを感じにくい

それぞれ詳しく解説します。

永久歯と比較して虫歯の進行が早い

乳歯は永久歯と比較して歯の表面にあるエナメル質が薄く、酸に弱い特徴があります。歯の質が弱いため一度虫歯になると進行が早く、半年ほどで神経まで達するケースも少なくありません。

乳歯は永久歯と比較してエナメル質と象牙質が薄く、神経が占める割合が大きいです。そのため、虫歯が進行すると神経まで達するリスクが高まります。

色が白い

歯の表面が酸によって溶かされると、歯の一部が点状や帯状に白く変化します。白濁と呼ばれる現象で、虫歯の初期症状のひとつです。白濁は、歯の表面が溶け出しているサインになります。

乳歯の虫歯は、進行しても黒色や茶色に変色せずに乳白色のまま進行するケースがあるため、白濁を発見したらしっかりと歯磨きをして経過を観察しましょう。

なお、白い虫歯は進行が早いため、早期に発見しないと神経まで達する可能性があります。こどもの虫歯は白いケースもあることを覚えておきましょう。

痛みを感じにくい

小さいこどもは痛みの感覚が発達していないため、些細な痛みに気がつきにくいです。そのため、本人が痛みを感じたときには虫歯が進行しているケースも少なくありません。

虫歯の痛みには波があり、痛みが出る日・痛みが出ない日があります。こどもが痛みを訴えたら、どの部分が痛むのか、痛む部分が虫歯になっていないかを確認しましょう。また、日頃から仕上げ磨きなどで、歯や歯茎に変化がないか観察することが大切です。

乳歯が虫歯になる原因

カラフルなお菓子

乳歯が虫歯になる原因には、以下の3つの要素があります。

  • 歯の質
  • 細菌
  • 糖質

上記の3つの要素が重なり、時間が経過すると虫歯になるのです。

3つの要素について、以下に詳しく解説します。

歯の質

歯の質は、歯や唾液の質、歯並びなどの口内環境のことです。歯の質は、個人差があります。

特に乳歯は、エナメル質が薄く、歯の質が弱いです。歯の質が弱いと酸の影響を受けたときに歯の表面のエナメル質が溶けることがあります。歯の表面のエナメル質が溶けると虫歯リスクが高まるのです。

唾液には酸を中和する働きや、酸の影響で溶け出した歯を修復する働きがあります。そのため、唾液の分泌が多い場合や質がよい場合には虫歯になりにくいです。

また、歯並びが悪いと歯と歯の間などの細かな部分まで歯ブラシが行き届きません。磨き残しがあると、細菌が繁殖して虫歯になります。

細菌

細菌は、虫歯の原因となるミュータンス菌のことです。ミュータンス菌は、糖分を栄養に増殖しプラークを形成して歯を溶かす酸を作ります。

ミュータンス菌が多いほど酸が作られるので、口の中が酸性に傾きやすいです。歯の表面の酸性度が高くなると、歯の表面のエナメル質が溶け出して虫歯になります。

糖質

糖質は、食べ物に含まれる糖分です。糖分はミュータンス菌が増殖するエサとなり、酸を作る原因になります。

甘い食べ物や飲み物をよく口にするこどもは、糖分を多く摂取している場合が多いでしょう。糖分を多く摂取するとミュータンス菌が増殖しやすい口腔環境になるため、虫歯リスクも高まります。

虫歯にまで進行するケースは、歯の表面が長時間にわたって酸に触れている場合です。歯の表面で多くの酸が作られたとしても短時間であれば問題ありません。

ダラダラ食べが習慣化している場合や歯磨きが不十分な場合は、虫歯リスクが高まります。虫歯を予防するためにも、食生活を見直し、またお口のケアも徹底しましょう。

乳歯の虫歯を治療しないことによるリスク

倒れてくるドミノを手で押さえる人形

「乳歯は永久歯に生え変わるため、治療しなくてもよいのではないか」と考える保護者の方も少なくありません。

しかし、乳歯の虫歯を治療しないと、さまざまなリスクが伴います。お子さんのお口の健康を保つためにも、虫歯が疑わしい部分を見つけたら早めに歯科医院を受診しましょう。

では、乳歯の虫歯を治療しないとどのようなリスクがあるのでしょうか。

乳歯の虫歯を治療しないことによるリスクは、以下の3つです。

  • 永久歯が形成不全を引き起こす
  • 歯並び・噛み合わせが悪くなる
  • 顎の発育に悪影響が出る

それぞれ詳しく解説します。

永久歯が形成不全を引き起こす

乳歯の虫歯を治療しないと、永久歯が形成不全を引き起こすリスクがあります。

乳歯の虫歯が進行して、歯根にまで達すると歯根に膿が溜まる場合があります。乳歯の歯根に溜まった膿が後続の永久歯に触れると、永久歯が形成不全を引き起こすのです。

形成不全を引き起こすと、これから生えてくる永久歯が変色する場合やいびつな形になる場合があります。また、形成不全がみられると、歯の質は弱くなるため虫歯になりやすいです。

永久歯の虫歯リスクを軽減させるためにも、乳歯の虫歯は治療しましょう。

歯並び・噛み合わせが悪くなる

乳歯の虫歯を治療しないと、歯並び・噛み合わせが悪くなるリスクもあります。

乳歯には、永久歯が生えるスペースを確保する役割と正しい位置に生えるサポートをする役割があります。

虫歯などで早期に乳歯を失うと、隣接の歯が移動して永久歯が生えるスペースを確保できなくなるでしょう。永久歯が生えるスペースが不足すると、永久歯が歯のアーチから外れて生えるなど歯並びが乱れる原因になります。また、歯並びが乱れることで噛み合わせも悪くなるのです。

歯並び・噛み合わせが悪くなることを防ぐためにも、乳歯に虫歯がある場合は進行する前に治療しましょう。

顎の発育に悪影響が出る

乳歯の虫歯を治療しないと、顎の発育に悪影響が出るリスクもあります。

乳歯の虫歯が進行して痛みを感じるようになると、片側だけで噛むようになり噛み合わせのバランスが崩れ、片側の顎に負担がかかるようになります。

また、乳歯の虫歯が進行し、生え変わり前に乳歯を失うと噛み合わせが悪くなるため、顎に負担がかかるのです。

顎に負担がかかることで、顎の発育に悪影響が出るでしょう。また、顎関節症になるリスクもあります。顎の発育に悪影響を及ぼさないためにも、乳歯に虫歯がある場合は治療しましょう。

乳歯の虫歯予防法

仕上げ磨きをしてもらう女の子

前述のとおり、虫歯は3つの要素が重なり、時間が経過することでできます。虫歯を予防するためには3つの要素が重ならないようにすることがポイントです。

以下に、乳歯の虫歯を予防する方法について解説します。

  • フッ素を取り入れる
  • 噛みごたえのあるものを食べる
  • 歯磨きをしっかり行う
  • 食生活を見直す

それぞれ詳しく解説します。

フッ素を取り入れる

歯の質を強化すると、虫歯になりにくい口腔環境に整えることが可能です。歯の質を強化させる手段のひとつにフッ素があります。

フッ素には、歯の質を強化することはもちろん、再石灰化を促進し、虫歯菌の活動を抑制する働きがあるのです。歯科医院で定期的にフッ素塗布を受けることで効果を得られます。

また、フッ素入りのこども用の歯磨き粉も市販されているため、自宅での歯磨きの際に使用するのもよいでしょう。

噛みごたえのあるものを食べる

唾液には、虫歯菌の出す酸を中和させる効果や、酸によって溶けたエナメル質を修復する効果があります。

食事や間食の際に、噛みごたえのあるものを食べると咀嚼する回数が増え、唾液が多く分泌されます。唾液が多く分泌されることで、口内が酸性に傾きにくい環境に整えることができるのです。

歯磨きをしっかり行う

虫歯を予防するには、口内のミュータンス菌を減らすことがポイントです。ミュータンス菌は、歯の表面に残る食べカスや磨き残しを栄養源に増殖します。

そのため、歯の表面の汚れを除去してミュータンス菌が繁殖できない環境に整えることが虫歯予防には有効なのです。歯の表面の汚れを除去するために、毎日しっかりと歯磨きをしましょう。

しかし、歯ブラシだけですべての汚れを除去することはできません。歯と歯の間や歯ブラシが行き届かない部分の汚れも除去できるよう、デンタルフロスやワンタフトブラシなどの補助清掃用具を使用しましょう。

また、こどもが小さいうちは仕上げ磨きをして、磨き残しを防ぎましょう。仕上げ磨きをしてあげることで、虫歯などのお口の中の変化に気づいてあげられます。

食生活を見直す

糖分はミュータンス菌のエサとなり酸を作る栄養源になります。そのため、糖分の摂取を控えることが虫歯予防には有効です。

ふだんから甘いものをよく食べる・間食が多い・水分補給にジュースを飲むという場合は、食生活を見直しましょう。具体的には、甘いおやつを減らす・食べる時間を決めるなどです。可能な範囲で改善しましょう。

まとめ

笑顔の男の子

今回は、乳歯が虫歯になる原因や治療しないリスク、虫歯の予防方法について解説しました。

乳歯は、歯の質が弱いため虫歯になりやすく、虫歯になると進行が早いです。虫歯は、歯の質・細菌・糖質の3つの要素が重なり、時間が経過することでできます。

万が一、乳歯が虫歯になった場合には放置してはいけません。乳歯の虫歯を治療しないと、永久歯が形成不全を引き起こすリスクや歯並び・噛み合わせが悪くなるリスクがあるためです。こどものお口の健康を守るためにも、乳歯が虫歯になったときには速やかに歯科医院で治療を受けましょう。

また、虫歯にならない口内環境に整えることも非常に重要です。多くの歯科医院ではフッ素塗布やブラッシング・食事指導など、虫歯にならない環境作りをサポートする体制が整えられています。虫歯になりにくい口内環境に整えるためにも、定期的に歯科医院を受診しましょう。

乳歯の虫歯にお悩みの方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。