こどもの歯肉炎になったらどうしたらいい?対処法と予防法を解説!

2023年12月23日(土)

小児歯科

こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。

歯肉炎の検査

「歯肉炎は大人がなるもの」というイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。

しかし、歯磨きを怠った場合や、食習慣・生活リズムが乱れている場合、こどもでも歯肉炎になることがあります。こどもの歯茎が赤く腫れている、仕上げ磨きをすると歯茎から出血するなどの症状があれば、歯肉炎になっている可能性があります。

こどもの歯肉炎をそのまま放置すると、進行して歯を失うおそれもあるでしょう。早期に治療することが重要です。

今回は、こどもの歯肉炎の症状や種類、歯肉炎を放置してはいけない理由などを解説します。歯肉炎を予防する方法もご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

こどもの歯肉炎の症状

歯肉炎の子供

歯肉炎は、歯周病の初期段階に分類される歯肉の炎症です。歯周病には、歯肉に炎症がとどまる歯肉炎と、炎症が進んで歯を支える歯槽骨などの歯周組織が破壊される歯周炎があります。

こどものうちに歯肉炎から歯周炎まで進行することはほとんどありませんが、歯肉炎の段階で発見して対応することが大切です。こどもに以下の症状がみられたら、歯肉炎の可能性があります。

  • 硬いものを噛むと出血する
  • 歯磨きのときに出血する
  • 歯茎が赤く腫れてブヨブヨしている

歯肉炎は炎症が歯茎にとどまっているため、はっきりとした自覚症状がないことも多いです。こども自身で上記の症状に気づくことは難しいので、毎日の仕上げ磨きのときに歯茎の状態をチェックしてあげましょう。

こどもの歯肉炎の種類

歯肉炎の検査

こどもに多い歯肉炎は、主に以下の4種類です。それぞれ原因が異なるため、歯肉炎の種類に応じた治療が必要です。

萌出性歯肉炎

6歳臼歯や12歳臼歯など、永久歯の奥歯が生えてくるときにみられる歯肉炎です。永久歯が完全に萌出するまでは、歯の上を歯茎が覆っていて汚れが溜まりやすい状態が半年ほど続きます。

奥歯は特に歯ブラシが届きにくい場所なので、プラークが溜まって歯茎に炎症が起こることがあるのです。

ただし、萌出性歯肉炎は歯の萌出に伴う一時的なものなので、しっかりとケアを行い、歯の萌出が完了すれば落ち着くでしょう。

不潔性歯肉炎

歯磨きが不十分でプラークが溜まり、歯茎に炎症が起こる歯肉炎です。不潔性歯肉炎はお口の汚れをしっかりと除去すると治ります。

毎日の丁寧な歯磨きを心がけ、ご自宅では落とせない汚れを歯科医院のクリーニングで除去しましょう。

思春期性歯肉炎

小学校高学年から中学生(10~15歳頃)にみられる歯肉炎です。生活習慣やホルモンバランスの乱れなどによって生じます。

思春期にはエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌が亢進するので、歯茎への血流量が増えます。そのため、プラークなどに対する反応性が高まり炎症を起こしやすい状態になるのです。

小学校高学年から中学生は、勉強や部活などの影響で食生活が乱れやすく、虫歯になることも多い時期です。規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事を心がけてホルモンバランスを安定させるとともに、お口のケアもしっかりと行いましょう。

若年性歯周炎(侵襲性歯周炎)

30歳以下の若い世代が発症する歯周炎です。進行が速く、前歯と第一大臼歯に限定して発症することが特徴です。

一般的な歯周病はゆっくりと進行しますが、侵襲性歯周炎は急速に進行します。若年性歯周炎は遺伝の影響や免疫力の低下が原因といわれていますが、正確には明らかになっていません。

進行速度が速いため早期発見・治療が非常に重要です。

こどもの歯肉炎を放置してはいけない理由

こどもの歯肉炎を放置してはいけないイメージ

歯肉炎は歯周病の初期段階です。小中学生の4割が歯肉炎にかかっているという報告もあります。

こどものうちに歯肉炎が重度の歯周病にまで悪化することはほとんどありませんが、放っておくと歯を支える歯槽骨にまで炎症が広がる歯周炎になるでしょう。歯が抜け落ちる可能性もあるため注意が必要です。

こどもの歯肉炎は丁寧にケアをすることで治まるケースが多いです。歯周炎へと進行すると大がかりな治療が必要になり、こどもにとって大きな負担になります。

こどもの歯茎に異常がみられたら、放置せず早めに歯科医院を受診しましょう。

こどもが歯肉炎になったらどうしたらいい?

歯の検査

歯肉炎は、歯科医院でのクリーニングや毎日の丁寧な歯磨きによって改善が可能です。歯科医院で指導を受けて正しいブラッシング方法を身につけ、ご自宅でも継続しましょう。

しばらくは歯磨きのときに出血するかもしれませんが、2週間程度しっかりとケアを行うと健康な歯茎に戻ることが多いです。

乳歯と永久歯が混在する時期は、こどもの歯磨きだけでは磨き残しが多くなります。大人による仕上げ磨きが非常に大切です。こどもが歯磨きをしたあとは、丁寧に仕上げ磨きをしてあげましょう。

こどもの頃の習慣は、大人になってからも続きます。歯肉炎になったこどもがそのままのケアを続けると、将来歯周病になって歯を失うリスクが高くなります。

歯肉炎になったときは、歯科医院で治療を受けるとともに、お口のトラブルを予防するための正しいケアの方法を身につけることが非常に重要です。

こどもの歯肉炎を予防する方法

歯肉炎のケア

健康な歯を守るために、こどもの歯肉炎を予防する方法を確認しましょう。

お口のケアを徹底する

歯肉炎の予防・改善の基本は、毎日の歯磨きです。プラークが溜まりやすい歯と歯茎の境目に歯ブラシの毛先を軽く当て、小刻みに動かしてブラッシングしてください。

歯並びや噛み合わせの状態は一人ひとり違うので、汚れが溜まりやすい場所も人によって異なります。こどものお口の状態に合ったブラッシング方法を身につけるために、歯科医院でブラッシング指導を受けるとよいでしょう。

こどもを歯肉炎から守るには、仕上げ磨きが非常に重要です。こどもが歯磨きしたあとは、大人が丁寧に仕上げ磨きをして、歯茎の状態もチェックしてあげましょう。

生活習慣を見直す

歯肉炎を予防するためには、免疫力を高めることが大切です。栄養バランスのよい食事や質のよい睡眠を取り、生活リズムを整えて免疫力を高めましょう。

定期的に歯科医院を受診する

定期的に歯科医院を受診して、歯茎の状態をチェックしてもらいましょう。歯肉炎は自覚症状がないことも多いので、定期的に歯科医師の診察を受けることで異常を早期発見できます。

また、歯科医院でクリーニングを受ければ、ご自宅では落とせない歯石も除去できます。

乳歯から永久歯に生え変わるこどもの時期は、お口の環境が変化しやすいです。歯肉炎や虫歯を予防するために、3か月に1回は歯科医院を受診しましょう。

まとめ

歯磨きのイメージ

こどもが歯肉炎になると歯茎の赤みや腫れ、出血などの症状が現れます。こどもにみられる歯肉炎には生え変わりによる一時的なものや、ケア不足によるプラーク・歯石の蓄積によるものなどがありますが、なかでも若年性歯周炎は進行が速いことが特徴の歯肉炎です。

こどもの歯肉炎が重度の歯周病にまで悪化することは稀ですが、放っておくと炎症が進み歯を失う可能性もあります。歯肉炎の症状が見られたら、放置せずに早めに歯科医院を受診しましょう。

こどもを歯肉炎から守るためには、毎日の歯磨きと規則正しい生活が非常に重要です。また、歯科医院を定期的に受診して、歯茎のチェックやクリーニングを受けることで歯肉炎を予防できます。

歯科医院での定期検診を習慣化して、こどものお口の健康を守りましょう。

お子さまの歯茎の状態が気になる方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。