こどもの過剰歯とは?原因やリスク、治療法を解説!

2023年11月18日(土)

小児歯科

こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。

小学生の女の子

こどもの歯は、6〜7歳ごろに大人の歯に生え変わります。生え変わりの過程で、過剰歯とよばれる余分な歯が生えることがあることをご存じでしょうか。

お子さまに過剰歯があると「治療するべきなの?」「放置していい?」「幼いのに抜歯はできるのだろうか」など、不安に思う方が多いです。

今回は、こどもの過剰歯の原因やリスク、治療方法について解説します。

こどもの過剰歯とは?

過剰歯

正常な歯の本数は、こどもの歯である乳歯は20本、大人の歯である永久歯は28本(親知らずを含むと32本)です。過剰歯は、本来の歯の本数よりも多く生えている歯のことです。

過剰歯があるこどもの割合は、30〜40人に1人といわれています。決して珍しいものではないことがわかるでしょう。

過剰歯は、痛みなどの症状を引き起こすことは少なく、レントゲン撮影で偶然見つかることが多いです。

過剰歯が生えやすい部位としては、上の前歯部分が挙げられます。上の奥歯や下の奥歯など、ほかの部位に生えることもあるでしょう。

過剰歯の原因は?

遺伝のイメージ

過剰歯の原因は、現在はっきりとわかっていません。

しかし、一般的に原因として考えられていることはあります。以下、確認しましょう。

遺伝

過剰歯は遺伝するといわれています。血縁関係者に過剰歯がある場合は、こどもも過剰歯がある可能性が高いのです。

歯胚(しはい)の分裂

歯は、最初から歯の状態で歯茎の中に埋まっているわけではありません。歯のもとになる歯胚が作られ、成長することで歯になります。

歯胚が何らかの原因で過剰に作られた場合や、1つの歯胚が複数に分裂した場合、こどもの過剰歯の原因になることがあるでしょう。

過剰歯があることによるリスク

過剰歯があることによるリスク

「歯が余分にあるだけなら問題ないのでは?」と思う方もいるのではないでしょうか。過剰歯があると、さまざまなリスクをもたらします。

過剰歯があることによるリスクは、以下のとおりです。

歯並び・噛み合わせが悪くなる

過剰歯によってこどもの歯並びが悪くなることがあります。

例えば、上の左右の前歯の間に過剰歯があると、過剰歯を避けるように上前歯の永久歯が生えてきます。歯と歯の間にすき間が生じ、すきっ歯になる可能性があるでしょう。

また、過剰歯がそのまま生えると、永久歯が生えるためのスペースが足りなくなります。少ないスペースに無理に並ぼうとするので、歯並びが悪くなる原因にもなるでしょう。

過剰歯があると、噛み合わせが悪くなるリスクもあります。噛み合う歯が過剰歯に押されて移動すると、歯並びだけでなく噛み合わせも悪くなるのです。

噛み合わせが悪くなると、肩こりや頭痛など、全身の不調につながることもあります。

虫歯になりやすい

過剰歯は、きれいに歯列に並ぶことは少ないです。また、上述したように、過剰歯があると歯並びが悪くなる可能性が高いです。

歯並びが乱れていると、汚れが溜まりやすいため虫歯になりやすいでしょう。十分に歯磨きできず口内で細菌が繁殖し、口臭が発生・悪化する可能性もあります。

永久歯が生えなくなる可能性がある

こどもの乳歯が抜けたあとは、通常すぐに永久歯が生えてきます。

しかし、永久歯が生える場所に過剰歯があると、永久歯がうまく生えられません。歯茎の中に埋まったままになることがあるのです。

歯根が吸収される

過剰歯が生えてくる過程で、永久歯の根を圧迫することがあります。圧迫された歯の根は、溶けて短くなります。

吸収された歯根がもとに戻ることはありません。歯根が短くなった歯は、通常よりも抜けやすいです。

嚢胞(のうほう)ができる

過剰歯の周りに、嚢胞とよばれる膿の袋が形成される可能性があります。嚢胞が大きくなると、歯根が吸収される、痛みが出るなどのトラブルにつながるでしょう。

細菌感染のリスクがある

虫歯が進行すると、歯の神経が壊死することがあります。壊死した歯の根の近くに過剰歯があると、細菌に感染して痛みや歯茎の腫れにつながることがあるでしょう。

コンプレックスになる

歯茎の中に埋まっている場合や歯の裏側に生えている場合はあまり問題にならないかもしれませんが、過剰歯が見える位置にある場合はコンプレックスに感じるかもしれません。

人と違うことに強い不安を覚えるこどももいるので、注意して様子をみてあげてください。

過剰歯がある場合は治療が必要?

過剰歯のチェックをしてもらう小さな女の子

過剰歯がある場合、治療が必要なのでしょうか。過剰歯は、経過観察する場合もあれば抜歯をする場合もあります。

それぞれ詳しく確認しましょう。

経過観察

過剰歯が永久歯に悪影響を及ぼす可能性が低いと考えられる場合は、経過観察を行います。まだ歯茎に埋まっている場合でも、特に永久歯に悪影響を及ぼさずに生えると考えられる場合は、過剰歯が生えるまで経過観察を行い、生えてから抜歯することもあるでしょう。

抜歯

基本的には、過剰歯は抜歯することが多いです。抜歯の方法は、過剰歯が生えているか歯茎に埋まっているかによって異なります。

過剰歯が生えている場合

過剰歯が生えている場合は、通常の抜歯と同様に行います。局所麻酔を行ったあと、ペンチのような器具を使用して歯を抜くでしょう。

過剰歯の抜歯は、乳歯から永久歯に生え変わる6〜7歳ごろに行われるのが一般的です。個人差はありますが、こどもによっては恐怖心が強く抜歯が行えないこともあるでしょう。

局所麻酔の前に歯茎に表面麻酔を塗布し、注射の痛みを和らげるなど、こどもの精神的な負担を減らせるように配慮します。

過剰歯が歯茎に埋まっている場合

歯茎に埋まっている過剰歯は、歯茎を切開して抜歯します。CT撮影を行って過剰歯の位置を確認し、歯茎を切開する位置や、どの方向から抜歯を行うかなどを検討するでしょう。

歯茎に埋まっている過剰歯を抜歯する際は、過剰歯の周りにある骨を一部取らなければならないこともあります。そのため、過剰歯が生えている場合と比べて治療時間が長くなるのが一般的です。

治療後の痛みが強い可能性が高いので、処方される鎮痛薬を飲ませて対応しましょう。

過剰歯を外来で抜歯できないときはどうする?

過剰歯の治療に疑問があるイメージ

過剰歯の抜歯は6〜7歳ごろに行われるため、こどもの恐怖心が強く抜歯が難しいことがあります。特に、歯茎に埋まった過剰歯の抜歯は、治療時間が長くなります。骨の除去を伴うこともあるので、こどもの精神的・身体的な負担は非常に大きいでしょう。

抜歯への恐怖心が強い場合は、全身麻酔下で抜歯を行うことがあります。ほかにも、過剰歯の本数が多い場合や局所麻酔が効きにくい部位に過剰歯がある場合など、全身麻酔下で過剰歯の抜歯を行うことがあるでしょう。

過剰歯の抜歯を行えるようになるまで待つこともあります。

まとめ

笑顔の親子

今回は、こどもの過剰歯についてご説明しました。過剰歯とは、通常の歯の本数よりも多く生えた歯のことです。過剰歯の原因は解明されていませんが、遺伝的な要因や歯のもととなる歯胚の分裂が原因で起きるといわれています。

こどもの過剰歯を放置するリスクとしては、歯並びや噛み合わせが乱れることや、歯根が吸収されることなどが挙げられるでしょう。

過剰歯の治療では、基本的に抜歯を行います。抜歯の方法は、過剰歯の状態によって異なります。

過剰歯がほかの歯と同様に生えている場合は、歯茎などの切開を行うことなく抜歯できるでしょう。

しかし、過剰歯が生えておらず歯茎の中に埋まっている場合は、歯茎を切開して抜歯します。骨を一部削る場合もあるでしょう。

こどもの過剰歯の抜歯は、6〜7歳ごろに行います。そのため、治療に対する恐怖心から抜歯を行えないことがあるでしょう。抜歯できるようになるまで待つ、全身麻酔下で過剰歯の抜歯を行うなど、適切に対応する必要があります。

こどもの過剰歯にお悩みの方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。