インビザラインで治療できない症例は?治療できない場合の対処法も解説

2024年04月20日(土)

矯正歯科

こんにちは。東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」です。

インビザラインで治療できない症例について考える人

インビザライン矯正は、近年歯列矯正方法として大きな注目を集めています。従来の金属製ブラケットやワイヤーを使用する矯正方法とは異なり、透明なマウスピースを使用するため多くの人から選ばれています。

この記事では、インビザラインの基本情報から、治療可能な症例、治療できないケース、及びその対処法について詳しく解説します。

インビザラインとは?

マウスピースを持った手元

インビザライン矯正は、アメリカのアライン・テクノロジー社によって開発された歯列矯正法です。インビザラインの最大の特徴は、治療に使用されるマウスピースが透明で装着していることがほとんど目立たない点でしょう。

従来の歯列矯正と比較して見た目が自然で、装置は取り外し可能なため利便性が高いです。そして、快適な装着感からインビザラインを選ぶ方が多いです。

食事や歯磨きの際は取り外すので、日常生活への影響を最小限に抑えながら矯正治療を受けられます。矯正治療中は虫歯や歯周病のリスクが高まるとされていますが、インビザラインは取り外して歯磨きできるのでその心配も減らせるでしょう。

インビザラインでは、まず患者さまの口腔内を3Dスキャナーで詳細にスキャンします。そのデータをもとに患者さまの歯並びや噛み合わせの状態を確認し、コンピューターソフトウェアを使用して治療の流れをシミュレーションします。

シミュレーションに沿って、最終的な歯並びに向けて段階的に調整されたマウスピースを製作します。1日20〜22時間装着し、約2週間ごとに新しいマウスピースに交換しながら徐々に理想の歯並びを目指します。

1枚のマウスピースで移動させる歯の距離は最大0.25mm程度と、ゆっくりと歯並びを整えていく治療法です。そのため、インビザラインは、軽度から中程度の歯並びの乱れや噛み合わせの問題に対して非常に有効とされています。

ただし、重度の歯並びの乱れや特定の咬合の問題に対しては、他の矯正治療のほうが適している可能性があります。

インビザラインで治療できない症例はある?

叢生の人

インビザライン矯正には、対応が難しい症例が存在します。ここでは、インビザラインで治療が難しい主な症例と、その理由について詳しく解説します。

重度の叢生(そうせい)

叢生は、歯が適切な位置に収まるためのスペースが不足してガタガタした歯並びを指します。特に重度の場合、歯が大きく重なり合っていたり、極端に歯列が乱れていたりすることがあります。

インビザラインは、透明なマウスピースを用いて緩やかに圧力をかけて歯を動かす方法です。大幅に歯を移動させなければならない重度の叢生は、治療が困難とされています。

重度の不正咬合

不正咬合にはさまざまなタイプがあります。上下の前歯の間に隙間ができる開咬や、上の歯が下の歯を過度に覆い隠す過蓋咬合、下の歯が上の歯より前方に出る反対咬合(受け口)などが含まれます。

これらの症例の中でも、重度の場合にはインビザラインだけでの治療が困難です。例えば、不正咬合が顎の骨格に由来する場合、外科手術が必要になることが多いでしょう。

重度の歯周病

歯周病が進行している場合は、歯を支える骨が失われている可能性があります。このような状態では、歯を動かすこと自体が大きなリスクとなるためインビザラインに限らず矯正治療は推奨されません。

重度の歯周病の場合はまずは歯周病の治療を優先し、状態が改善されてから矯正を検討する必要があります。

インプラントが存在する

インプラントがある場合、矯正治療ができないわけではありませんが希望の歯並びにはできない可能性があります。通常、インビザラインに限らず矯正治療では、歯の根の周りを覆う歯根膜という組織の性質を利用して歯を移動させます。

しかし、インプラントは顎の骨に直接人工歯根を埋入して固定するので、歯根膜が存在しません。そのため、インプラントを矯正治療で動かすことはできないのです。

天然歯のみを移動させることは可能ですが、移動させたい場所にインプラントが入っていることもあるでしょう。インプラント以外の歯を対象として治療計画を立てるので、患者さまが希望する歯並びは目指せないことがあります。

インビザラインで治療できない場合は

ワイヤー矯正をする人

インビザラインで治療できない症例だった場合でも、さまざまな対処法があります。矯正治療を諦める必要はありません。

重度の症例では、ワイヤー矯正や外科手術を含む治療を検討すると良いでしょう。また、セカンドオピニオンを求めることで、異なるアプローチを提案してくれる場合もあります。

インビザライン矯正は多くの利点がありますが、すべての症例に適応可能というわけではありません。では、インビザラインで治療できない場合、どのような選択肢があるのでしょうか。

一つひとつ確認しましょう。

ワイヤー矯正

インビザラインでは対応が難しい重度の不正咬合や複雑な歯並びの問題には、ワイヤー矯正が有効な場合があります。金属のブラケットとワイヤーを使用して、より強い力を歯に加えることができる治療法です。

インビザラインよりも複雑な歯の移動や回転が可能なので、難しい症例も治療できるかもしれません。特に、大きな歯の移動が必要な場合に選択される傾向があります。

ワイヤー矯正には3つの方法があるので、それぞれ解説します。

表側矯正

ブラケットとワイヤーを歯の表側に装着する方法です。最も一般的な方法で、対応している歯科医院も多いでしょう。装置が非常に目立ちやすいことがデメリットです。

しかし、他の方法よりも費用を抑えられます。

裏側矯正

ブラケットとワイヤーを歯の裏側(舌側)に装着する方法です。装置が目立たないため希望する方も多いですが、特別な技術が必要なため対応できない歯科医院も存在します。

装置が舌に触れるため、滑舌が悪くなったり痛みを感じたりする方が多いことがデメリットでしょう。表側矯正よりも高度な技術と豊富な知識が必要な方法なので、費用も高くなる傾向があります。

ハーフリンガル矯正

上の歯は裏側矯正、下の歯は表側矯正を実施する方法です。表側矯正よりも目立ちにくく、裏側矯正よりも費用を抑えられます。

2つの方法を行うので、どちらの治療実績も豊富な歯科医院で受ける必要があるでしょう。

外科手術との併用

顎の骨格に問題がある場合や、非常に複雑な不正咬合の場合には、矯正治療と外科手術を組み合わせることで改善します。外科手術によって顎の位置を調整し、その後に矯正治療を行うことで理想的な歯並びを目指すのです。

セカンドオピニオンを求める

インビザラインで治療できないと診断された場合でも、矯正治療を諦める必要はありません。別の歯科医院に相談し、セカンドオピニオンを求めることも大切です。

治療可能な範囲はクリニックや医師によって異なるため、他の専門家の意見を聞くことで新たな治療の可能性が見えてくるかもしれません。

まとめ

インビザライン矯正で使用するマウスピース

インビザライン矯正は、目立たずに治療を進められたり日常生活への影響が少なかったり、メリットの多い治療法です。

しかし、全ての症例に対応可能なわけではありません。インビザラインで治療できないと判断された場合には、ワイヤー矯正を検討したり外科手術を併用したり、セカンドオピニオンを求めたり、他の選択肢を検討する必要があるでしょう。

これらの方法にはそれぞれ特徴があり、患者さまの状態やニーズに合わせて選択することが重要です。

インビザラインを検討されている方は、東京都八王子市にある歯医者「相沢歯科」にお気軽にご相談ください。